第1回より 竹雄部屋の襖の怪

初版2010.5.7

 話の本筋ではないが、今回の執筆にあたり筆者は、第1回のオープニングシーンに隠されていた「竹雄部屋の襖の怪」を発見し、撮影後、ベストを求めて編集段階でシーンを入れ替えたスタッフの執念を垣間見た。
 第1回シーン2のつばさのお便りによる家族紹介は千代、竹雄、知秋と年長順で、つばさが駆け回る順番(知秋、千代、竹雄)とは違う。ちなみにノベライズ本では、お便りどおりの順番である。
 このシーンをよく見ると、つばさが知秋の手を引いて2階から1階へ階段を下りるとき、階段を上がってすぐの竹雄の部屋の左の襖がすでに開いているが、その後つばさが階段を上がって竹雄を起こしに行くとき、開いていたはずの竹雄の部屋の襖はなぜか閉まっていて、つばさが左の襖を開けて部屋に入っている。竹雄の部屋の襖は勝手に閉まる怪談になってしまっているのである。
 恐らく台本も、お便りの読み上げと同じく千代、竹雄、知秋の順番になっていて、つばさは手ぶらで台所から茶の間、帳場を通って、千代に「お祖母ちゃん、大変なの」と伝え、店舗の神棚にてを合わせてから、階段を上がって襖を開けて竹雄の部屋へ入り竹雄を起こし、そのあとに自分の部屋からラジオを持ちだし、知秋を引っぱって襖の開いた竹雄の部屋の前を通って1階へ降りるという演出で撮影したと考えれば、竹雄の部屋の襖の辻褄が合う。
 しかし、お便りの紹介と同じく年長の順に予定調和的に知らせて回るなら、赤い小型ラジオの前に集合したほうが自然で、ラジオの男である古いラジオをあとから持ってくるのはわざとらしい感じである。あえて古いラジオを持ってくるという不自然なことをするのだから、まずはラジオのある自分の部屋へ行ったほうが、そのラジオが特殊なラジオであるというインパクトがあるし、お便りの読み上げという限られた時間の間に、茶の間にラジオを置いてから引き返して千代を呼んだり、2階の竹雄と知秋をいっぺんに片付けずに、1回余計に1階と2階を昇り降りする絵にすることで、慌てて普通でない様子を表すには、かえっていいかもしれない。
 そのような判断で、最後の編集の段階で台本とは順番を入れ替えたのではないだろうか。順番を替えたことで、竹雄の部屋の襖の怪が生じてしまうが、普通に視聴している限り、そんなことに気づかれることはないだろうし、気づかれたら気づかれたで、「竹雄の部屋は出るんです」とでもネタにしてしまえというノリでこうしたのだろう。茶の間から店舗に駆けてくるつばさの背景にラジオはないが、ちょうどつばさに重なって見えないと解釈できるアングルになっているので、こちらは問題なし。知秋が茶の間に映っていないのも、映る角度に入っていないと説明可能である。
 放映時点で、お便りの家族紹介と映像に映る家族の順番が合わないのが気にはなっていたのだが、今回の記事作成にあたってDVDを見直すすことで、竹雄部屋の襖の怪に気づき、このように推論した次第である。

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Posted: 5月 7th, 2010 under 研究論文.
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